紫外線が肌老化の8割を占めるというの本当か
「肌老化の8割は紫外線が原因」――このフレーズ、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。シミやシワ、たるみ、くすみなど、年齢とともに現れる肌の変化。その多くが、実は「光老化」と呼ばれる紫外線によるダメージによって引き起こされていることが、皮膚科学の世界で広く認められています。
この記事では、紫外線による肌老化の科学的根拠、紫外線が肌に及ぼす具体的な影響、そして今日からできる徹底的な紫外線対策まで、最新の知見をもとに詳しく解説します。
「肌老化の8割は紫外線」説の根拠
光老化とは何か
肌の老化現象には大きく分けて「自然老化」と「光老化」があります。自然老化は年齢とともに進むもので、遺伝や体内の代謝変化が主な要因です。一方、光老化は長年にわたり紫外線を浴びることで生じる皮膚の変化を指します。この「光老化」が、肌老化全体の約8割を占めると考えられているのです。
8割説の科学的背景
この「8割」説は、皮膚科医や美容医療の現場で長年語り継がれてきました。例えば、日光に当たらない部位（お尻や内もも）の皮膚は、年齢を重ねてもシミやシワが少ない一方、顔や手の甲などの日光にさらされる部分は明らかに老化が進んでいます。
また、25年間トラック運転手をしていた男性の顔の左右で、窓側に当たる半分だけ極端にシワが多くなったという症例が、2012年の論文で報告されました。（引用：ニューイングランド医学ジャーナル）紫外線が肌老化に及ぼす影響の大きさが改めて注目されました。
厚生労働省や環境省の資料、皮膚科学の教科書でも「肌老化の約8割が紫外線による光老化」と明記されています。
紫外線が肌に与えるダメージのメカニズム
紫外線の種類とその作用
紫外線は主に「UV-A」と「UV-B」に分けられます。
①UV-A：全紫外線の約95%。波長が長く、雲や窓ガラスも通過し、真皮まで到達します。肌のコラーゲンやエラスチンを破壊し、シワやたるみの原因に。1年中降り注ぎます。
②UV-B：全紫外線の約5%。波長が短く、主に表皮に作用します。肌を赤く炎症させ（サンバーン）、シミやそばかすの原因に。春夏に多い紫外線です。
UV-Aは「生活紫外線」とも呼ばれ、日常生活の中で気づかないうちに浴びてしまうため、長期的なダメージが蓄積しやすいのが特徴です。一方、UV-Bはレジャーや屋外活動時に多く浴びる「レジャー紫外線」で、短時間で強いダメージを与えます。
紫外線による肌老化のプロセス
紫外線を浴びると、肌の細胞内で「活性酸素」が大量に発生します。これが細胞のDNAやコラーゲン線維、エラスチン線維を傷つけ、肌の弾力やハリを失わせてしまいます。
また、紫外線はメラノサイトを刺激し、メラニン色素の過剰生成を引き起こします。これがシミやくすみの原因となります。
さらに、紫外線は肌のバリア機能も低下させ、乾燥や炎症を招きやすくします。
紫外線対策の重要性と具体策
「8割が紫外線による老化」ということは、反対に「8割の肌老化は自分のケアで予防できる」ということです。
①基本の紫外線対策
外出するしないに関係なく、日焼け止めを塗る。SPF値・PA値をシーンに合わせて選び、顔・首・手など露出部分に毎日塗りましょう。
②塗り直しの習慣
日焼け止めは、汗や摩擦で落ちやすいため、3時間ごとに塗り直すのが理想です。
③帽子・日傘・サングラスの活用
紫外線は目からも入り、体内でメラニン生成を促進するため、サングラスの着用も有効です。
④衣服での防御
紫外線カット素材や長袖、アームカバーなども活用しましょう。
⑤紫外線が強い時間帯は屋外活動を避ける
午前10時〜午後16時は、紫外線がより強い時間帯です。時間帯が選べるのであれば、避けましょう。
⑥室内・曇りの日も油断しない
UV-Aは窓ガラスも通過するため、室内でも紫外線対策が必要です。曇りの日でも紫外線量は晴天時の約80%に達するため、毎日のケアが大切です。
⑦内側からのケアも重要
抗酸化作用のある栄養素を摂取しましょう。ビタミンC、ポリフェノール、アスタキサンチン、リコピンなどは活性酸素を除去し、紫外線ダメージを軽減します。
よくある誤解と落とし穴
「夏だけ」「外出時だけ」では不十分な紫外線対策。
紫外線は1年中降り注いでおり、特にUV-Aは冬でも減りません。毎日の対策が必要です。
また、「日焼け止めだけ」で安心しないようにしましょう。日焼け止めは、汗や摩擦で落ちやすく、塗り直しや他のアイテムとの併用が不可欠です。さらに、目から入る紫外線も肌老化や白内障のリスクを高めます。UVカット機能付きのサングラスを選びましょう。
未来の肌を守るために
「肌老化の8割は紫外線が原因」という事実は、科学的にも多くの専門家から支持されています。しかし、これは決して悲観的な数字ではありません。なぜなら、紫外線対策を徹底することで、将来の肌老化の大部分を自分の努力で防げるからです。
今日から始められる紫外線対策を、ぜひ毎日の習慣にしましょう。将来の自分が、きっと今のあなたに感謝するはずです。